52歳で賃貸経営を始めて1年、正直な収支を全公開|区分マンション1室・空室2ヶ月と失敗談つき

私、52歳にして「不動産投資で老後安泰!」という甘い言葉に釣られ、見事に物件選びで失敗しかけました。「かけた」で済んだのは、ほぼ運です。退職金の運用先として賃貸経営を考え始めたのは2年前。年金だけでは足りないという現実を突きつけられ、焦りから勢いで動き出してしまったのです。定年まで残り10年、年収700万円の会社員として、老後資金2,000万円問題にどう立ち向かうか。今日は、そんな私が賃貸経営を1年間やってみて分かった「リアルな現実」を、収支つきで全部お話しします。

いま、老後のお金が不安で夜中に目が覚めてしまう方へ。その不安は、あなたが真面目に将来を考えてきた証拠です。焦って動いてしまうのも、全然おかしくありません(実際、私がそうでした)。ここでは一緒に、ゆっくり整理していきましょう。

この記事でお伝えすること

  1. 52歳で賃貸経営を考えた理由と、ほかの選択肢との比べ方
  2. セミナーに通いすぎて動けなくなった話
  3. 最初の物件選びで失敗しかけた話(利回りの落とし穴)
  4. 実際に購入した物件の、1年間の収支と空室のリアル
  5. 向いている人・向いていない人、そしてリスク

なぜ52歳で賃貸経営を始めようと思ったのか

きっかけは、会社の先輩が定年後に「年金だけじゃ全然足りない」とボヤいていた一言でした。私も年金定期便を見て愕然としたんです。65歳からの年金見込み額は月額約16万円(あくまで私の定期便の数字で、働き方や加入期間によって人それぞれ違います)。妻と二人で暮らすには、正直心もとない金額でした。

最初は投資信託やiDeCoも検討しました。実際、NISAでの積立は3年前から続けています。ただ、株式投資はどうしても値動きが気になって、夜中にスマホで株価をチェックしてしまう自分がいました。50代になると、元本割れのリスクに対する心理的な耐性が、若い頃より確実に下がっているんですよね。かといって、銀行預金では増えません。「退職金を投資信託に突っ込むのは怖い、でも預金のままも不安」という板挟みの果てに、たどり着いたのが賃貸経営でした。

「毎月決まった家賃が入る」という仕組みと、「実物資産」という安心感に、私は魅力を感じました。もちろん、不動産投資にもリスクはあります。空室、家賃の下落、修繕費、金利の上昇、そして売るときに買った値段を下回る可能性。どれも、起きたら私の財布に直撃します。

ただし、これは完全に私の性格に合っていただけの話。株価の上下に一喜一憂しない方なら、インデックス投資の方が手間もかからず良いかもしれません。向き不向きは本当に人それぞれです。

セミナーに通いすぎて、情報過多で動けなくなった話

賃貸経営に興味を持った私が、まずやったのは情報収集でした。不動産投資セミナーに、3ヶ月で8回参加。今思えば、これが最初の失敗です。

各社の言うことがバラバラなんです。「新築区分が安心」という会社もあれば、「中古の方が利回りが良い」という会社もある。「東京23区じゃないとダメ」という意見もあれば、「地方の方が安く始められる」という意見も。情報を集めれば集めるほど、何が正解か分からなくなりました。

結局、一歩も前に進めないまま数ヶ月が過ぎ、妻には「あなた、セミナーマニアになってない?」と冷たい目で見られました。財布を開けると、無料セミナーでもらったクオカードが5枚。投資の勉強をしていたのか、クオカードを集めていたのか、自分でも分からなくなっていました。

この経験から、私は「情報収集は2ヶ月くらいで区切る」と決めました(これは私のやり方で、正解ではありません)。それ以上続けても、新しい知識より混乱が増えるだけだったからです。そのあとは、不動産投資のポータルサイトで実際の物件を眺めて、相場観を養うことに集中しました。

最初の物件選びで、やらかしかけた話

相場観が少しついてきた頃、「駅から徒歩3分」という言葉だけで即決しそうになった物件がありました。念のため自分の足で歩いてみたら、その3分は営業マンが早歩きで測った数字で、私の足では堂々の8分。妻に話すと「あなた、その営業トークにどれだけ引っかかれば気が済むの」と半ば呆れられました。

そして、もっと危なかったのが次の物件です。駅から徒歩15分、築35年の木造アパート。価格は800万円と手頃で、表面利回り12%という数字に目がくらみました。ところが内見に行ってみると、外壁のひび割れ、錆びた階段、そして何より8室中3室が空室。「これって利回り12%じゃなくて、実質8%くらいでは?」と気づいたときには、すでに契約書を前にしていました。

結局、この物件は購入を見送りました。今思えば、踏みとどまれて本当に良かった。まるで、スーパーの見切り品コーナーで「安いから」という理由だけで買った刺身が、家に帰ったら賞味期限が今日だった、みたいな話です。安さには必ず理由があるんですよね。

この失敗から学んだのは、「表面利回り」だけで判断してはいけないということ。実際の収益を考えるには、管理費、修繕積立金、固定資産税、空室率などを引いた「実質利回り」で見る必要があります。さらに、融資を受けるなら返済額も差し引かなければなりません。

実際に購入した物件と、1年間のリアルな収支

失敗しかけた経験を経て、最終的に購入したのは、都内近郊の駅徒歩7分、築15年の区分マンション1室でした。価格は1,580万円、家賃は月額7.2万円。表面利回りは約5.5%と、最初に見た物件より見劣りしますが、入居率の安定性を重視しました。

1年間運用してみた収支は、次の通りです(入居者が途切れなかった場合の計算です)。

  • 年間家賃収入:864,000円(7.2万円×12ヶ月)
  • 管理費・修繕積立金:-180,000円(月15,000円)
  • 管理委託費:-51,840円(家賃の6%)
  • 固定資産税:-42,000円
  • ローン返済:-480,000円(月40,000円、金利1.8%)
  • 年間キャッシュフロー:+110,160円

月にすると約9,000円。「たったそれだけ?」と思われるかもしれません。私も最初は物足りなく感じました。ただ、ローン返済の中には元本の返済(自分の資産になる部分)も含まれています。手元にお金が残りつつ、物件という資産も持てていると考えれば、悪くない数字だと今は思っています。なお、この数字には購入時の諸費用や所得税・住民税への影響は含まれていません。ローンの借入額や期間、税金の扱いは人によって大きく違うので、あくまで私の1例として見てください。

そして、ここからが本題です。この計算は、空室が一切なかった理想のケースです。現実の私は、購入直後に入居者が退去し、2ヶ月間の空室を経験しました。その間の家賃収入はゼロ、さらに原状回復費用で8万円の出費。単純に引き算すると、空室2ヶ月分の家賃(約14万円)と原状回復費(8万円)で約22万円が消え、理想の約11万円のプラスは、1年目に限れば赤字に近いところまで削られます(管理委託費の減少などは無視した目安です)。理想の収支表を見て満足していた私に、現実が冷水をかけてきた瞬間でした。

これが賃貸経営の怖いところで、空室は「いつか起きるかも」ではなく「起きる前提」で考えておいたほうがよさそうです。同じ失敗をしないために、私が今かみしめているチェックポイントを書いておきます。

  1. 駅徒歩の分数は、自分の足で測る(営業トークの3分は、私の足では8分でした)
  2. 築年数より、管理状態を見る(修繕積立金の積立状況は必ず確認)
  3. リフォームや原状回復は、事前に複数の業者から見積もりを取る
  4. 空室が数ヶ月続いても耐えられる資金計画にする(目安は人によって違います)

余談ですが、私は「自分の物件を持っている」という実感が欲しくて実物の不動産を選びました。少額から始めたい方や、管理の手間をかけたくない方には、不動産投資クラウドファンディングのような選択肢もあります。ただしこちらも元本割れの可能性はありますし、運営会社の事情に左右される面もあります。どちらが良い悪いではなく、性格と事情に合うかどうかだと思います。

1年やって分かった、賃貸経営のデメリット

良いところばかり書くのはフェアではないので、正直にデメリットも並べます。

  • 流動性の低さ:株なら明日にでも売れますが、不動産は売却に数ヶ月かかることがあります。急にお金が必要になっても、すぐには現金化できません。
  • 修繕・設備交換の出費:給湯器やエアコンなどが壊れれば、費用がかかる場合があります。管理費や修繕積立金とは別に、備えが必要です。
  • 金利上昇のリスク:ローンの種類によっては、金利が上がると返済額が増えます。今の収支が将来も続くとは限りません。
  • 入居者が退去するたびの不安:「次の人は決まるだろうか」という心配は、何度経験しても慣れません。
  • 元本割れのリスク:物件価格が下がれば、売却時に損失が出る可能性があります。家賃収入でプラスでも、トータルでマイナスになるケースもあります。退職金を使うなら、なおさら慎重に考えたいところです。

こうして書き出してみると、私、よくこれでスタートボタンを押せたなと思います。たぶん、押したときは前半の「毎月家賃が入る」しか見えていませんでした。

52歳から始める賃貸経営、向いている人・向いていない人

1年間やってみて、賃貸経営は万人向けではないと実感しています。正直に言うと、次のような方には向いていないかもしれません。

  1. すぐに大きなリターンを求める人:賃貸経営は長期戦です。短期で大儲けしたいなら、他の方法を検討したほうがよいでしょう。
  2. 借金に強いストレスを感じる人:多くの場合、ローンを組んで始めます。私も毎月の返済に、最初は胃がキリキリしました。
  3. 物件管理に一切関わりたくない人:管理会社に委託しても、最終的な判断はオーナーがします。完全な放置はできません。
  4. 数字の管理が苦手な人、精神的に不安定になりやすい時期の人:空室や出費が続くと、気持ちの負担が大きくなりがちです。

一方で、毎月のキャッシュフローを重視する人、長期的な資産形成を考えている人、ある程度の自己資金や予備資金がある人には、選択肢の一つになり得ると思います。私の場合、退職金の一部を老後の安定収入源として運用したいという目的がありました。株式のような値動きに一喜一憂せず、淡々と家賃が入ってくる感じは、50代の私にはちょうど良いストレスレベルでした(空室になるまでは、ですが)。

これから:2件目を検討中。でも焦らないと決めた

最初の物件がようやく落ち着いてきたので、実は2件目も検討しています。ただ、1件目で空室の怖さを味わったので、前のめりにはなりません。上のチェックポイントを守れなければ、見送る覚悟です。見送るのは、もう慣れました。見切り品の刺身で懲りていますから。

まとめ:老後資金の不安は、行動で少しずつ小さくなる。ただし賃貸経営は向かない人もいる

52歳から始めた賃貸経営、正直まだ「成功した」とは言えません。でも、何もせずに不安を抱え続けるよりは、一歩踏み出して良かったと思っています。賃貸経営は向かない人もいます。空室、修繕、金利の上昇、売却時の元本割れなど、考えるべきことは山ほどあります。

もしあなたが「老後資金のために何か始めたい、でも株は怖い」と感じているなら、いきなり物件を買うのではなく、まずは情報収集から始めてみてください。セミナーや資料請求は無料のことが多いですが、その後に営業の連絡が来ることもあります。気乗りしなければ断ってかまいません。そして私のように、セミナーに通いすぎてクオカードだらけにならないように(これは本当におすすめしません)。

完璧を目指さず、小さく、慎重に。失敗しかけた52歳の私でもここまで来られたのですから、あなたのペースで大丈夫です。

【PR】

お金のことで一人で悩んでいませんか?

家計・保険・老後資金など、お金にまつわる悩みをファイナンシャルプランナーに無料で相談できます。

無料でFPに相談する

この記事は、運営者(Ikuo)が自分自身で調べ、まとめた内容です。専門家による監修を受けたものではありません。より詳しい・個別の判断が必要な内容は、専門家や各サービスの窓口に直接ご相談ください。

運営者情報 免責事項 プライバシーポリシー

コメント

タイトルとURLをコピーしました