学資保険に入るべきか、入らなくていいのか。返戻率って結局なに。児童手当を使えば代わりになるのか。どれくらいの金額を、いつまでに貯めれば安心なのか。……こうした疑問が、頭の中で渋滞していませんか。私もまさに、パンフレットの束を前に、頭の中で渋滞していました。
保険会社の資料の中に「返戻率」という言葉がありました。私はそれを自信たっぷりに「へんもどしりつ」と読み、窓口のお姉さんに質問しました。お姉さんは一瞬だけ間をおいて、とてもやさしく「へんれいりつ、ですね」と教えてくれました。窓口の観葉植物が、私の代わりに赤面してくれた気がします。
もし今のあなたが、「学資保険の代わりになる貯め方は?」と調べているなら、それはお子さんの将来を、真剣に考えている証拠です。ここまで調べに来た時点で、あなたはもう十分えらいです。自分を責めないでください。「早く決めなきゃ」と焦る必要もありません。この記事では、学資保険以外の選択肢と、児童手当を使った貯め方、そして向かない人の注意点まで、順番にお話しします。
この記事の要点
- 学資保険の代わりには、預貯金、積立投資、児童手当の専用口座づくりなどがあります。どれも一長一短です。
- 仮のモデルケースでは、児童手当(第1子)を18歳まで貯めると、約234万円になる計算です(運用益は含みません)。
- 国公立大学の授業料標準額は、年約54万円です。4年間で約214万円(授業料のみ)。児童手当だけで足りるとは限らないので、家計全体で考えます。
- お金に手をつけてしまいやすい人や、元本割れが心配な人は、学資保険が向くこともあります。
学資保険の代わりに使える選択肢を整理
学資保険は、毎月(または年に1回)保険料を払い、子どもが決まった年齢になったときに、満期金や祝い金を受け取る保険です。決まった時期に、決まったお金を準備できる安心感があります。一方で、近年は金利が低いので、払った保険料に対する受取額の割合(返戻率)は、商品や条件によって100%前後、または100%を下回ることもあります。途中で解約すると、元本割れすることもあります。
そこで、「学資保険に入らない」という選択をする家庭もあります。代わりに使える主な選択肢を、表にまとめました(2026年10月時点の一般的な整理です)。
| 選択肢 | 良いところ | 注意点 |
|---|---|---|
| 預貯金(普通預金・定期預金) | 元本が減る心配が少なく、必要なときに引き出しやすい | 金利が低く、増えにくい。引き出せる分、使ってしまうことも |
| 積立投資(NISAのつみたて投資枠など) | 長く続けると、増える可能性がある | 価格が変動し、元本割れの可能性がある。成果は保証されない |
| 児童手当の専用口座 | 家計と分けて、自動的に貯めやすい | 金額は制度と家庭によって違う。それだけでは足りない可能性 |
| こどもNISA(予定) | 子ども名義で非課税の積立ができる見込み | 2027年開始の予定で、法案成立などが前提。元本割れの可能性 |
こどもNISAについては、2025年12月に閣議決定された令和8年度の税制改正大綱で、0歳から17歳を対象に、年間60万円、非課税保有限度額600万円などの方針が示されています。ただし、開始時期や細かいルールは、法律の成立や金融機関の準備によって変わる可能性があります。最新は、金融庁や各金融機関の発表で確認してください。
特定の商品や会社は、ここではおすすめしません。比べるときは、「元本が減る可能性があるか」「いつから、いくら必要か」「途中で使いたくなったときに困らないか」の3つの視点で見てください。
児童手当を貯める仕組みの作り方
児童手当は、2024年10月分から制度が拡充されました。所得制限がなくなり、支給の対象は高校生年代(18歳になった年度の3月31日まで)までに広がりました。月額は、第1子・第2子で、3歳未満が1万5,000円、3歳から高校生年代までが1万円です。第3子以降は月3万円です。支給は年6回、偶数月にまとめて振り込まれます(2026年10月時点の一般的な内容です。最新は、こども家庭庁と、お住まいの自治体の案内で確認してください)。
仮のモデルケースで計算
- 子ども0歳(第1子)・世帯年収600万円
- 3歳未満の36か月:月1万5,000円
- 3歳から18歳まで(高校生年代の終わりまで)の180か月:月1万円
計算式:15,000円 × 36か月 + 10,000円 × 180か月 = 540,000円 + 1,800,000円 = 2,340,000円(約234万円)。
これは、児童手当を1円も使わずに、すべて貯めた場合の概算です。生まれた月や支給が始まる月によって、数か月の差が出ます。運用の利益や利息は含んでいません。
「234万円」と聞いて、私は一瞬、「家が建つ!」と叫びかけました。電卓をもう一度見て、そっと言い直しました。「家は建たない。せいぜい、大きめの冷蔵庫が建つ」。冷蔵庫は建ちません、置くものです。大きなお金に見えて、教育費全体で見ると、その一部です。だからこそ、他の貯蓄との組み合わせが大切になります。
口座分けと自動積立の手順
児童手当を貯めるコツは、「見えなくする」ことです。次の手順で、仕組みを作ってみましょう。
- 専用の口座を決める:生活費の口座とは別に、教育費の貯蓄用の口座を用意します。名義は親名義でも、子ども名義でも選べますが、子ども名義にする場合は、名義預金(実質は親のお金とみなされる預金)の考え方に注意が必要です。
- 児童手当の受取口座を設定する:児童手当の振込先は、自治体に届け出た口座です。多くの自治体では、受給する親本人の名義の口座が指定されています。振込先を教育費用の口座にできるか、自治体に確認してください。
- 自動振替・自動積立を設定する:振り込まれた日の翌日に、積立用の口座へ自動で移す設定をします。手動だと、必ず「今月はちょっと」が来ます。
- ルールを家族で共有する:「この口座は、教育費以外では触らない」と決めておきます。
私は、はりきって口座を3つ作り、名前を「教育」「予備」「予備の予備」としました。数か月後、どの口座にいくら入っているのか自分でも分からなくなり、通帳を3冊並べて、にらめっこしていました。口座は、少ないほうが管理が楽です。まずは1つで大丈夫です。
教育費の山場(高校・大学)に必要な金額の目安
貯める目標の目安を、確認しておきましょう。教育費は、高校と大学に進むときに、まとまったお金が必要になります。
- 国公立大学:国が定める標準額は、授業料が年53万5,800円、入学料が28万2,000円です。入学した年は、合計で約81.8万円(535,800円 + 282,000円 = 817,800円)です。授業料だけで4年分を計算すると、535,800円 × 4年 = 2,143,200円で、約214万円です。実際の金額は、大学によって違います。
- 私立大学:学部や学校によって大きく違い、国公立より高くなるのが一般的です。進学先の募集要項で確認してください。
- それ以外にかかるお金:一人暮らしの費用、受験料、教材費、通学費などは別に必要です。
先ほどのモデルでは、児童手当をすべて貯めて約234万円。国公立大学の授業料4年分(約214万円)に近い額です。ただし、入学料や生活費は別にかかるため、これだけで十分とは言えません。また、高校の授業料への支援制度は拡充が続いているため、最新の内容は文部科学省や自治体の案内で確認してください。
向いていない人・学資保険を選ぶ方が向く人
「代わりの貯め方」が、全員に合うわけではありません。ここは、正直にお話しします。
代わりの貯め方が向かない人
- 引き出せるお金があると、つい使ってしまう人
- 元本が減る可能性(投資の価格変動)を、どうしても心配に感じる人
- 貯蓄を管理する時間や気力がない人
学資保険を選ぶ方が向く人
- 「決まった時期に、決まったお金を受け取る」仕組みを強制的に作りたい人
- 契約者(保険料を払う親)に万一のことがあった場合に、以後の保険料の払込が免除される保障が欲しい人(商品によって内容が違います)
- 返戻率や受取時期などの条件が、家庭の計画に合っている人
私は、この「払込免除」という言葉を見て、はじめは「払わなくていいなんて、お得すぎる!」と目を輝かせました。営業の方が、少し言葉を選びながら「契約者に万一のことがあった場合に、ですね」と説明してくれて、自分の勘違いに気づきました。保険の言葉は、分からないまま話を進めないのが一番です。分からないところは、遠慮せずに聞いてください。
なお、学資保険は、途中で解約すると元本割れすることがあります。また、保障の付いた保険を解約・見直しすると、保障が減るリスクがあります。契約者の健康状態によっては、あとから同じ条件で入り直せないこともあります。見直しの前に、内容をよく比べてください。
私は専門資格を持っていません。具体的な契約や投資の判断は、保険会社や金融機関、FPなどの専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 学資保険に入らないと、教育費が足りなくなりますか?
A. 入る・入らないより、「いつまでに、いくら貯めるか」を決めて、続けられる仕組みがあるかが大切です。足りるかどうかは、進学先や家計によって違います。
Q. 児童手当は、全部貯めなくてはいけませんか?
A. いいえ。児童手当は、子どもの養育のために使うお金で、使い方は家庭によって違います。生活費の足しにする家庭も多く、それが悪いわけではありません。無理のない範囲で、貯める金額を決めてください。
Q. 学資保険と積立投資は、併用してもいいですか?
A. もちろん可能です。「決まった時期に確実に準備したい分」を学資保険、「長期で増やしたい分」を積立投資というように、役割を分ける考え方もあります。投資は元本割れの可能性があることを、忘れないでください。
Q. 子ども名義の口座にしたほうがいいですか?
A. 名義にはメリットもありますが、名義預金とみなされる可能性や、手続きの手間があります。親名義の専用口座で管理する家庭も多いです。迷うときは、税務署や税理士に相談してください。
まとめ
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。パンフレットの束を前に、頭が渋滞するのは、お子さんのことを真剣に考えているからです。あなたは十分えらいです。決めるのが遅くても、分からないことがあっても、自分を責めないでください。
お金の準備に、正解はひとつではありません。学資保険も、預貯金も、積立投資も、それぞれ良さがあります。大切なのは、あなたの家庭が無理なく続けられる形を見つけることです。
今日の5分でできる最初の一歩は、次のとおりです。
- 児童手当が振り込まれる口座と、直近の振込額を確認する
- 「教育費用」の口座を1つだけ決める(作るのは今日でなくて大丈夫です)
- 分からない言葉を1つだけ、メモに書き出す(「へんれいりつ」でも、「はらいこみめんじょ」でも)
将来のための準備は、完璧に始めなくても、小さく始めれば、ちゃんと育っていきます。
この記事は、運営者(Ikuo)が自分自身で調べ、まとめた内容です。専門家による監修を受けたものではありません。より詳しい・個別の判断が必要な内容は、専門家や各サービスの窓口に直接ご相談ください。

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