「頭金なんて貯めていたら、いつまでも家が買えない。今の低金利のうちにフルローンで組んでしまおう」——28歳、結婚を機にマイホーム購入を考え始めたあなたなら、そう考えるのも無理はありません。実際、頭金ゼロでも組める住宅ローン商品は今や珍しくなく、不動産会社も積極的にフルローンを勧めてきます。
実はこれ、私たち夫婦自身の話でもあります。「若いうちにローンを組んで、あとは繰り上げ返済で頑張ればいい」と楽観的に考え、頭金ゼロ、諸費用まで含めたフルローンで新築の建売住宅を購入しました。ところが3年後、転勤の話が持ち上がり「じゃあ売って引っ越そう」と軽い気持ちで不動産会社に査定を依頼したところ、担当者から告げられた査定額を見て夫婦揃って言葉を失いました。ローン残債が査定額を100万円以上も上回っていたのです。「新築っていうだけで3年でこんなに評価が下がるものなんですね」と担当者に苦笑いで返された瞬間、頭金なしで購入した3年前の自分の脳天気さを、心の底から殴ってやりたい気持ちになりました。
フルローンが「オーバーローン」を生む仕組み
新築物件は購入直後から資産価値が下がる
新築住宅は、購入した瞬間から「新築プレミアム」と呼ばれる価値が剥がれ落ち、中古市場に出た途端に評価額が大きく下がる傾向があります。頭金を入れずに諸費用まで借り入れていた私たちのケースでは、この価値下落のスピードにローン残債の減少スピードが追いつかず、「オーバーローン」と呼ばれる、売却しても借金が残る状態に陥ってしまいました。
諸費用ローンでさらに借入額が膨らむ
物件価格だけでなく、登記費用や仲介手数料などの諸費用まで住宅ローンに組み込んでしまったことも、オーバーローンに拍車をかけました。「どうせ借りるなら諸費用もまとめて」という安易な判断が、後々の資産価値とのギャップを広げる一因になっていたのです。
私たちが直面した数字のリアル
| 項目 | 購入時 | 3年後 |
|---|---|---|
| 物件価格 | 3,800万円 | 査定額 3,300万円 |
| 借入額(諸費用込み) | 3,950万円 | ローン残債 約3,650万円 |
| 差額(オーバーローン額) | ー | 約350万円 |
結局、転勤先には単身赴任という形で対応し、売却は見送りました。もし本当に売却が必要な状況だったらと思うと、頭金を入れずに購入した判断の甘さを、今でも時々思い出しては反省しています。
頭金ゼロで住宅ローンを組む前に考えたいこと
- 転勤・離婚・介護など、数年以内に住み替えの可能性があるかを想定しておく
- 可能であれば物件価格の1〜2割程度は頭金として用意する
- 諸費用まで借り入れる場合は、オーバーローンのリスクを理解した上で判断する
- 購入前に、周辺の中古物件相場や価格下落の傾向を調べておく
もちろん、頭金ゼロで購入すること自体が間違いというわけではありません。低金利のうちに手元の資金を投資や貯蓄に回すという考え方も一理あります。大切なのは、オーバーローンのリスクを知った上で判断することです。
よくある質問
Q1. 頭金なしの住宅ローンは審査で不利になる?
A. 収入や勤務先の安定性によっては、頭金なしでも問題なく審査に通るケースは多くあります。ただし借入額が増える分、月々の返済負担や総支払利息が大きくなる点は理解しておく必要があります。
Q2. オーバーローンの状態になったらどうすればいい?
A. 売却を急がず、そのまま住み続けながら繰り上げ返済でローン残債を減らしていく方法が一般的です。どうしても売却が必要な場合は、差額分を自己資金で補填する「任意売却」という選択肢もあります。
Q3. 頭金はどのくらい用意するのが理想?
A. 一般的には物件価格の1〜2割程度が目安とされていますが、無理に貯めて購入時期を逃すよりも、頭金の額と将来のリスクを天秤にかけて判断することが大切です。
まとめ
若いうちにマイホームを持ちたいという気持ちは、家族の未来を考える上でとても前向きで素敵な決断です。その決断自体を後悔する必要はまったくありません。ただ、フルローンで購入する際には、資産価値の下落スピードという見えにくいリスクがあることを、ぜひ知っておいてほしいと思います。もしあなたが今、頭金なしでの購入を検討しているなら、それは決して無謀な選択ではありません。ただ少しだけ、数年後の「もしも」を想像する時間を作ってみてください。その小さな想像が、あなたと家族の暮らしを、より安心なものにしてくれるはずです。
この記事は、運営者(Ikuo)が自分自身で調べ、まとめた内容です。専門家による監修を受けたものではありません。より詳しい・個別の判断が必要な内容は、専門家や各サービスの窓口に直接ご相談ください。
コメントを残す