63歳で始めた積立投資|退職金2000万円を守る私の運用体験記

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正直に言うと、私は退職金の運用で最初に大きな失敗をしました。定年退職して2000万円という大金を手にしたとき、「これを増やさなければ」という焦りから、よく調べもせずに銀行窓口で勧められた投資信託を一括購入してしまったのです。その後、基準価額が下がるたびに夜も眠れない日々が続きました。63歳という年齢で「取り返しがつかないのでは」という恐怖。あのときの自分に言いたいです。「もっと慎重に、分散して投資すればよかった」と。今日は、そんな私が積立投資という方法にたどり着くまでの道のりと、実際に1年間続けてみた本音をお話しします。

退職金一括投資で味わった後悔の日々

2024年の春、38年間勤めた会社を定年退職しました。退職金は約2000万円。妻と二人、年金だけでは心もとないと感じていた私は、「このお金を運用して少しでも増やしたい」と考えていました。

そんなとき、取引先の銀行から「退職金運用のご相談会」という案内が届きました。担当者は親切で、「今が買い時です」「この商品は人気があります」と熱心に説明してくれました。私は深く考えずに、退職金の半分にあたる1000万円を一括で投資信託に投入してしまったのです。

ところが、購入から2ヶ月後、世界的な株安が起こり、私の投資信託は一時15%も下落しました。150万円が一瞬で消えた計算です。毎日スマホで基準価額をチェックしては、食欲もなくなる始末。妻には「また下がった」とため息をつくばかりで、夫婦の会話もぎくしゃくしました。

ちなみに、口では「もう投資なんて怖くてやりたくない」と半ば拗ねていたくせに、含み損を抱えたまま毎晩スマホで基準価額をリロードするという、矛盾だらけの行動を繰り返していました。

このとき痛感したのは、「一括投資は精神的にきつい」ということ。特に私のように、もう働いて取り返すことが難しい年齢では、下落時のダメージが心に重くのしかかります。若い頃なら「長期で見れば大丈夫」と思えたかもしれませんが、63歳の私にとって「長期」がどれくらいあるのか、正直わからないのです。

積立投資という「地味だけど堅実な方法」との出会い

落ち込んでいた私を救ってくれたのは、大学時代の友人でした。彼は証券会社に勤めていた経験があり、私の状況を聞いて「積立投資に切り替えたらどうだ」とアドバイスをくれました。

積立投資とは、毎月一定額をコツコツ投資していく方法です。一括で大金を投じるのではなく、時間を分散させることで、購入価格を平均化できます。いわゆる「ドルコスト平均法」というやつですね。

最初は「今さら毎月少額を積み立てても意味があるのか」と半信半疑でした。だって63歳ですよ。20代の若者が30年かけて資産を作るのとはわけが違います。しかし友人は言いました。「10年でも15年でも、人生は続くだろう。焦って大損するより、ゆっくり増やす方がいい」と。

その言葉で目が覚めました。確かに、日本人の平均寿命を考えれば、私にもまだ20年以上の時間がある可能性があります。「残りの人生で使うお金」を少しずつ育てていくという発想に切り替えたのです。

さっそく楽天証券で口座を開設し、新NISAのつみたて投資枠を活用することにしました。選んだのは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)という投資信託。手数料が安く、世界中に分散投資できる点が決め手でした。月々5万円からスタートし、様子を見ながら続けることにしたのです。

1年間続けてわかったメリットと正直なデメリット

積立投資を始めて約1年が経ちました。その間に感じたことを、良い点も悪い点も含めて正直にお伝えします。

私が感じたメリット

  • 精神的に楽になった:一括投資のときは毎日値動きが気になっていましたが、積立投資では「下がったら多く買える」と思えるようになりました。まるで、スーパーの特売日を喜ぶような感覚です(貧乏性が役に立つ日が来るとは思いませんでした)。
  • 自動引き落としで手間がかからない:毎月決まった日に自動で購入されるので、面倒な操作は一切ありません。年金生活でボケ防止にスマホをいじる程度の私でも続けられています。
  • 新NISAの非課税メリットが大きい:運用益に税金がかからないのは、やはり嬉しいです。つみたて投資枠は年間120万円まで非課税で投資できます。

正直に感じたデメリット

  • 増えるスピードはゆっくり:1年間で投資した60万円が、今は約66万円になっています。10%増えたと言えば聞こえはいいですが、「大儲け」とは程遠いです。短期間で大きく増やしたい人には物足りないでしょう。
  • 元本割れのリスクは消えない:積立投資でも、相場が長期間下落し続ければ損失が出る可能性があります。「絶対安全」ではないことを忘れてはいけません。
  • 途中でやめたくなる誘惑:暴落時に「今売った方がいいのでは」という考えが頭をよぎります。積立投資は「続けること」が肝心なので、この誘惑との戦いは想像以上に大変です。

※投資信託は元本保証ではありません。基準価額の下落により、投資元本を割り込む可能性があります。投資は自己責任で行ってください。

63歳からの積立投資で大切にしている3つのルール

この1年間で、私なりのルールができました。同世代の方の参考になれば嬉しいです。

  1. 生活防衛資金は別に確保する:私は退職金のうち500万円を普通預金に残しています。急な医療費や介護費用が必要になっても、投資を取り崩さなくて済むようにするためです。投資は「なくなっても生活できるお金」でやるのが鉄則だと思います。
  2. 月々の積立額は無理のない範囲で:年金収入と生活費を計算して、「このくらいなら続けられる」という金額に設定しています。背伸びして高額を設定すると、苦しくなって途中でやめてしまいます。
  3. 値動きを見る回数を減らす:最初は毎日チェックしていましたが、今は月に1〜2回程度にしています。見すぎると不安になるだけです。代わりに、その時間で妻と散歩に出かけるようになりました。運用成績より健康の方が大事ですからね。

振り返ってみると、一括投資で失敗したからこそ、積立投資の良さがわかったのかもしれません。高い授業料でしたが、おかげで今は穏やかな気持ちで投資と向き合えています。

まとめ:積立投資が向かない人もいます

正直に言うと、積立投資は万人向けではありません。「すぐに大きく増やしたい」「投資にドキドキ感を求めたい」という方には物足りないでしょう。また、数年以内に使う予定のあるお金で投資するのはおすすめしません。しかし、私のように「退職金を守りながら、少しずつ増やしたい」と考える方には、検討する価値があると思います。まずは少額から、無理のない範囲で始めてみてはいかがでしょうか。63歳の私にもできたのですから、きっとあなたにもできるはずです。

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